キュレーションメディアというモラルの低下

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少なくとも2000年までのウェブサイトといえば、CMSもキュレーションも存在せず、ブログやHTMLで個人がコツコツ作っていた時代だ。

当時は役に立つコンテンツだけを公開するという風潮があり、個人のブログを除けば、知識のあるオヤジがHTMLを手打ちで書き上げてレンタルサーバーにあげていたのである。
更に硬派なルールが課されており、画像や素材に直リンするなんて言語道断、トップページ以外にリンクする事さえも多くの場合は禁止されていた。
なかでもリンクする際はご報告(許可)をなんてケースさえあり、他人のコンテンツをコピー&ペーストしたサイトなんてのは筆者の知る限りでは殆ど存在しない。

いずれも全て自分で記事やコンテンツを制作して、写真までも自身で用意していたものだ。当時は画像やサイトの素材を用意できない人のために、「素材屋さん」なるものが各所に見受けられ、名前の通り素材を提供していた。
これも金銭が目的でなく社会の役に立つ、もしくは僅かばかりの承認欲求が元となり、ほとんどが「自分のサイトへのリンク」をするだけで利用できたのだ。
また利用者も律儀に画像を使わせてもらう時は、許可を得たり、正しいバナーをダウンロードしては自分のサイト上に貼り付けをした。

当時はネチケットと呼ばれるようなインターネット・エチケットがあり、それらは今では考えられないほどにマナーの良い状態であった。
まるで大学の図書館のような状態で、誰も本を盗んだり汚したりするような人は居ない。

ところが、ネイバーまとめを始めとするキュレーションメディアが出始めた頃からモラル崩壊が起き出した。より正しく言うと、それよりも少し前の「アフィリエイト」が出始めた頃からである。
2003年頃からは楽天市場もアフィリエイトをスタートして、書店には「アフィリエイトで儲ける」といった本が大量に並ぶようになった。
どれも、「サイトを制作してコンテンツを作りお金儲けをする」といった類で、このあたりから”無償で良質な情報を提供する”という観念から、”効率よく他者を蹴落とし儲ける”に変わって行った。

それまでは、例えば「風邪薬」であれば粗悪な風邪にまつわる話をたくさんコンテンツを作り、そこに商品のリンクを張るのが一連の流れで、検索エンジンも低品質なコンテンツを上位に出してしまい有益な情報がウィキペディアでしか得られないような時期も少なからず存在した。
更にはその後にネイバーまとめが出てからは完全なまでにモラルの崩壊が起きた、「他人のコンテンツを効率よくコピー」することによってマネタイズさせるようになったのだ。

キュレーション(情報を収集)して読者に見やすくする。そんなのは体の良い言い訳であって、実態は他人の努力した作った制作物をコピーして、検索エンジンにヒットさせて金に変えるのだ。

本来キュレーターというのは美術館などで使われており、作品について深い理解を持って次の企画展に出す作品を選別したり、保有する美術館に貸出の交渉をする。
今のネット上のキュレーターが行っているのは、他人の描いた絵や文章を盗み出し、あたかも自分の作品のように展示して、本来作者に行くはずの客を奪うようなものだ。

引用というのは、自分の考えや文章があり、そこに持論の優位性を証明するために他人の意見も持ち出したり、反証として引き合いに出すのだ。
「◯◯◯◯の◯◯という面からすると、◯◯というサイトに、次のような文章がある〜引用〜。つまり、実際に◯◯を経験している人は多い。」
といったように前後に文脈があり初めて成り立つ。

法律的観点は他のサイトでも論じられているが、インターネット上のモラルの低下は悪化の一途をたどる。
こうなると、ネット民の忌み嫌う中国や韓国と同族になってしまう。そうならないためにも一人ひとりの意識を上げて自己で作り出した有益な情報のみをネットにあげてゆきべきである。